2002年11月17日(日曜日)日本経済新聞記事
〓Sunday Nikkei〓
私のいきいき術
◆漫画家
ちば てつや さん(63)
「若さを保つ」レンコン粉
「あしたのジョー」連載中の32年前、十二指腸潰瘍を患った。矢吹丈のライバル力石徹が死に、寺山修司さんらが本当に葬式を開いて話題になった直後のことだ。当時は連載を何本も抱え、睡眠時間を削って漫画を書いたが病気のせいでジョーの連載を中断しなければならなくなり、お日様と一緒に生活しないといけないと痛感した。
それ以来、健康には人一倍気を配る。テレビ番組で体にいいと紹介された食品もどんどん試す。妻には「すぐ台所がいっぱいになる」とぼやかれるがそれが楽しい。なかでも、この2年続けているのが「レンコン健康法」だ。粉末をお湯で溶いたものを1日1回、必ず飲むようにしている。
2年前、中国でぶらりと入った展覧会で出会った画家に教えてもらった。黒髪を後ろで束ねた精かんな姿は40そこそこに見えたが、私より3つも年上。レンコンが若さの秘けつだという。近くの市場で購入し、ホテルで早速試した。
湯飲みにレンコンの粉を入れ、ぬるま湯を注ぎ、ササッと混ぜる。泥状になったところで熱湯を注いで出来上がり。苦みもにおいも少なく、くず湯のような食感だ。我が家では食べやすくするために砂糖を混ぜ、松の実をかけて食べる。
レンコンにはビタミンCや食物繊維、鉄分などが豊富に含まれていて、松の実をかけることで、さらに栄養価が増す。髪が白くなって久しいが最近、後頭部に黒いのがチラホラでてきたのはレンコンのおかげだろう。肌のツヤも増し、アトピーも良くなった。
「ちかいの魔球」を連載中の40年前に漫画家の松本零士らとつくった野球チーム「ホワイターズ(漫画の修正のときに使うホワイト)」は選手の髪がホワイトになった今も現役。選手を引退したくないから監督はやらない。エラーも増えたが自分のミスによる失点を仲間がばん回して勝った日の酒はとにかくうまい。
泥臭く、なにかを登りつめようとする姿が好きだ。スポーツ漫画をかき続けるのも、私が一生懸命汗をながすジョーたちの一番のファンだからかもしれない。1日頑張って疲れてカクッと眠る。そんな毎日を過ごしたいと思っている。
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